藤井祐子

言語聴覚士

言語聴覚士として10年以上病院で働いて来ました。病院から退院された後、在宅でのリハビリの様子や過ごし方をもっと見たいと思うようになり、訪問リハビリに興味を持つようになりました。利用者様やご家族へ指導するにあたり、連携をしっかりと取りたいとの思いが強くなり、訪問リハビリの世界に飛び込むことにしました。

なぜ言語聴覚士の道へ

最初は単純に面白そうから始まりました
言語聴覚士は、作業療法士や理学療法士と比較すると人数が少なく、まだ病院で手が足りていない状況です。ましてや訪問看護リハビリの言語聴覚士は少人数で、新宿区でもまだ数名しかいないようです。 最初は深く考えず、言語聴覚士の仕事内容も知らずにこの道を選びました。単純に興味があったこともありますが、体をあまり使わない仕事で長く勤められるのではないかと思ったのも動機の一つです。看護師のように病院で夜勤がないなど、最初は消去法でしたね。(笑)

病院勤務から訪問看護へ

アッと言う間だった病院勤務を経て・・・
最初はリハビリ専門の病院勤務でした。学校で勉強した通りには運ばなくて、レポートを提出したりして学校の延長のようでした。3年目くらいから先輩に聞かなくても自分ひとりでやれる仕事が増えていきました。その後、急性期の患者様をみる病院勤務も経験しました。 病院では、入院している患者様や救急車で運ばれてくる患者様が今日ご飯を食べられるかどうかの判断が必要です。言語聴覚士は、患者様の口の動き、唾液の飲み込み方、実際に食事を口にしてもむせないかどうか、等の動きから判断します。その判断から医師は点滴するかどうか判断していきます。
病院から退院される時に在宅でのリハビリを指導するにあたり、退院時はバタバタしてケアマネに十分に伝え切れなかったり、ご家族の方が病院に来られなくて十分に伝えられなかったりと言うことがありました。また、在宅で過ごされる患者様とご家族の様子が見えず、退院時のリハビリ指導も十分に出来ているのか疑問が残りました。
現在、訪問看護に携わることになり、ひとりで体調の悪い患者様のところに訪問する不安はありますが、不安よりも楽しさと感じながら訪問することが出来ています。 病院勤務から訪問看護リハビリをやってみたいと思ってから実行するまでは時間がかかります。病院を辞めるとなると時間がかかるものなので余計にそう感じるのかもしれません。振り返ってみると病院勤務の期間もアッと言う間でしたね。

実際の訪問看護をやってみて

もうすぐ1年ですが、楽しいです。
実は、移動時間は暑い夏などちょっと大変でした。利用者様もご家族ともに積極的な方もいれば、この人何しに来たのかなと思われている方や本当にそれぞれです。ご本人とは全く意思疎通が図れなくて、ご家族の協力をもらうこともあります。ある程度ご自分でやりたいと思っている人には、リハビリのアドバイスをします。利用者様にも差がありますが、あまりやりにくさは感じません。それぞれがやれることを言語聴覚士としてやってあげれば良いと考えているからです。
利用者様に応じて、唇、頬の筋肉、のど、肩回りまで動かしてもらったり、他動的に筋トレやマッサージをしたりもします。「次までにやっておいてくださいね」とお願いしておいても、ほとんどの人はまずやらないみたいですね。(笑)だからこそこの仕事が大切だと思えます。

在宅の課題

これから在宅の利用者様が増えていきます
高齢化社会が進み、これからは病院で死ねなくなります。在宅で面倒みられる場合も介護保険の範囲などの問題が出て来ます。言語聴覚士は、食事介助が仕事ではありません。リハビリがきちんと出来て訓練の効果を見せることが仕事です。リハビリ治療は日進月歩を続けていますが、言語聴覚士は作業療法士や理学療法士より少ないので、訓練結果の効果についての実績がまだ浅い分野です。リハビリ治療の範囲は失語症の訓練などもあり、とてもマニアックな分野と言えます。
これからは病院と在宅スタッフとの連携がもっと必要となると思います。主治医やケアマネや看護師などの医療チームが今よりもっと深く話し合う機会をもつことが大切だと感じています。

今出来ること

一つ一つ経験を重ねていく
訪問看護での経験を積み重ねて行こうと思っています。そして、経験を重ねた後には、病院勤務に戻る選択肢もあるかもしれません。それぞれの分野を何年もかけてみないと医療の本質は見抜けないと思うからです。在宅を知ることで、病院へ伝えたいこともきっと見えてくると信じています。 もし、家族が病気になり言語聴覚士として同じように面倒を見られるかと言うと自信はありません、と言うか絶対無理です。(笑) 言語聴覚士と言う仕事を通して成り切ることができるから利用者様を助けることが出来ます。 毎日、利用者様と向き合い経験を重ねることが大事だと思っています。